かすみ
春は霧やもや、黄砂などによって見通しが悪くなりやすい季節です。見通しが悪くなって遠くの景色がぼんやりと見える現象は一般に「かすみ」とよばれ、夜に現れたものは「おぼろ」といいます。「かすみ」には気象学的にはっきりとした定義づけが無く、細かい粒子によって遠くがはっきり見えなければすべて「かすみ」とよばれています。しかし、本来「霞(かすみ)」という漢字には、朝焼けや夕焼けという意味や、日の出、日の入りのときに霧が日光を受けて赤く見えるものといった意味があったようです。「霞」に「光」と書けば、「霞光(かこう)」といって朝焼けや夕焼けの輝きを、「霞」に「彩り」と書けば「霞彩(かさい)」と読み、朝焼けや夕焼けの美しい彩りを意味します。このように、もともと「かすみ」とは白っぽい霧とは違い、朝がすみや夕がすみなどの「赤」という特定の色をもった霧のことを表現した言葉だったようです。