ヘルメスのタロットカードの説明

カード01 01 魔術師・正位置
 魔法円の中心に立ち、左手にヘルメスの杖をかかげる魔術師。魔法円の四方に浮かび上がる棒・金貨・杯・剣は、宇宙を構成する四大元素。アストラル界の霊たちと交信を交わし、儀式を通じて自然界のパワーを自在に操り、「目的」を具現化しようと試みています。  彼の頭上に浮かぶレムニスケート(∞)は無限にわき出す宇宙の力と、逆転の機会も象徴します。それは不可能を可能に変える瞬間。光りにも闇にも通じる魔術師の「知恵」は「機転」に通じ、悪魔とも難なく駆け引きができるのです。自分が「イニシアチブ」を取るといった強い「意志」を持ち、巧みな「技」や「交渉能力」で思い通りに周囲を操っていけます。番号1は物事の「開始」を表わし、「計画の実行」や「新規の事柄」をも暗示するカードです。また数字の1は男根を象ると見られ、「能動性」、「積極性」といった「男性原理」を表わしています。

カード02 02 女教皇・正位置
 静かに神殿にたたずむ理知的な女性の教皇。彼女の意識は「神性な領域」に向けられ、2本の柱にかかる背後のヴェールは人間には通常見えない隠された領域を象徴しています。三日月を重ねたような冠は、彼女の「啓示」を受け取る神秘的な感受能力を示します。同時に彼女は貴重な「知識」の管理者です。手に持つ書物には過去も未来も含まれた宇宙の全ての情報が織り込まれています。彼女がたまたまページを開くとそこに必要な情報が浮かび上がってくるのです。月はまた「女性原理」にも関連し、「消極性」や「受動性」といった面を表わします。占いとして物事の成り行きを見る場合、具体的、物質的な事柄よりも霊的、「精神的な事柄」に大きな意味を示します。また「学習」に関する事にもよく登場するカードです。

カード03 03 女帝・正位置
 カードに描かれた優雅で優しげな表情と暖かい雰囲気をもった女帝は万物を生み出す「宇宙的母」であり、生産と実りと豊かさの象徴です。またこの女帝は母であると同時に「妻」です。パートナーとの愛の証がその周囲に広がる美しい自然。足元の白い鳩は「母性」や「平和」を象徴しています。翼のような形の椅子はそこに座る彼女のスタンスの表れ。「生命」を生み出す者として地上に根を下ろす立場でありながら、その霊性は空に舞い上がるようにポジティブで軽やかです。物事を楽しむ余裕を持つ彼女にはクリエイティブな能力があり、「美的」センスを駆使して様々な形をデザインしていけます。このカードは「芸術」や創作、表現といった分野にも関連します。また「愛情」を得ることや「家庭」を築く、「出産」するなど、「女性的」な能力の成功とそれによる幸運、「物質的な満足」を得ることなども暗示します。

カード04 04 皇帝・正位置
 威厳ある面持ちで王座に座る皇帝は、万物の支配者ともいえる立場。「支配」とは「責任」の上に成り立つもの。その下に従いついてくる者たちの存続を守るため。掟を定めて全てを管理していかねばならず、自分にも人にもある意味厳しくあることが要求されます。このカードは「男性的性質」の象徴でもあります。カードの皇帝も強さや「実行力」、「リーダー性」などを有し、「社会の権力」、「父性」といった面を持ち合わせる成熟した頼れる男性像を表わします。カードの数字4は東西南北など、四方へ広がる領域をも表わし、「安定」や「不動」などの意味を持ちます。常に動じないスタンスを保つためには場合によっては人間的感情を犠牲にし、物事を割り切って考えていく必要があります。また常に実際的な能力をふるうために、現実的な観点や理論整然とした思考が求められます。

カード05 05 教皇・正位置
 神の代理人としての責務を担う教皇は、社会の平穏と秩序を守る立場にあり、人々から尊敬され信頼されるよう努めるモラリストです。教皇は信仰心と、「慈悲心」を持ち合わせ、人々に正しい道を指し示します。数字の5は人間に深く関わります。このカードは人間としていかに生きるべきかを問いかけます。支え合い、導き合う人間同士において、それぞれの立場や礼儀を重んじること、約束やルールを守る事、思いやりを持つ事など、社会生活における倫理や「道徳」がテーマとなります。「教育」や「宗教」に関わる事もこのカードの管轄です。カードが暗示する幸運は人間関係上での調和と満足。「保護」や「援助」、「仲介」、「助言」が得られるなどです。

カード06 06 恋人・正位置
 カードに描かれているのは運命が引き合わせている若い恋人同士。2人の女性との間に立つ一人の若者。キューピッドはどちらかの相手に矢を射ようとしています。運命の方向を指し示す、頭上でのそのような様子は、若者には見えていません。しかし彼はインスピレーションによってどちらが選ばれるべき相手かを既に感じ取っているのです。人生には進学や就職などの大きな問題から、日常の買い物などに至るまで、様々な選択の場面があります。このカードは「二者択一」といった意味を持ち、その選択の重要性を表わします 。また、一般的にこのカードは「恋愛」に関する事柄を象徴します。その他の人間関係においても、「パートナーシップ」や「コミュニケーション」などに関する事がテーマとなります。

カード07 07 戦車・正位置
 若き戦士が、2頭の馬に引かせた馬車に乗っています。その表情は、「勇気」をたたえ、「自信」に満ちあふれています。馬車を引く2頭のうちの白い馬と黒い馬はそれぞれ正反対の性質を持ち、片方は理性的、片方は本能的です。御者である戦士はそれぞれの性質を把握し、上手く手綱をとって両者を「コントロール」しながら、最短距離で目的地に到達できるのです。このカードはファイトをもって「全力投球」する姿勢やスピーディーな動き、障害を克服して「勝利」や「成功」を納めることを暗示します。また戦車が乗り物であることから、「移動」や旅行に関する事も表わします。

カード08 08 正義・正位置
 カードに描かれているのは、真理の名のもとに裁きを行う女神の姿。厳正なる判断を行う誓いの剣を右手に持ち、「正義」の可否を審判するのです。その左手には「公平」と「均衡」を象徴する天秤を持っています。この天秤は罪と罰をはかりにかけると同時に、物事の「善悪の判断」にも使われます。天秤はどちらに傾いても悪。本来悪とは「バランス」を欠いた状態から生まれるのです。同時に釣り合っている天秤は、「平和」と存続のためには片寄らない、「中庸」という立場が重要であることを表わします。正義の女神は、感情には動かされずに冷静に真実を見ています。また美はバランスをもとに成り立ちますが、彼女は優れた審美眼の持ち主でもあります。「契約」や取引、「法的な事柄」、「モラル」に関する事も表わすカードです。

カード09 09 隠者・正位置
 年老いた賢者が、右手にランプを持ち、闇を照らしながら立っています。彼は長年を孤独に過ごした中でこそ発見することができた秘密の「知恵」を誰かに伝えようと待っているようです。ランプの放つ光りは「真理の灯」です。この光りがあるかぎり、どんな状況でも道を誤らずに進むことができるのです。このカードは「隠れているもの」の重要性を表わします。己の内側に目を向けたり、物事の表面に見えにくい裏側の部分や本質的な部分に注目すべきといった暗示があり、「内省」や「分析」など「思考」を働かせることや「理性」や「客観性」を重んじるべきとことを示します。このカードが状況を示す場合は、物陰に隠れるような孤独な身、沈黙を守る、静かな時間の中にいることなどです。また専門知識や技術に関することも表わします。

カード10 10 運命の輪・正位置
 天空にあって、ぐるぐると回転する輪。下降と上昇は交互に起こり、上る者と下る者はその時に応じて立場が逆転します。人生の浮き沈みも時間によって生まれるめぐり合わせであるともいえます。頂点にいるスフィンクスは、この輪の回転から逃れている超越した存在。手に持つ剣は物事の清算に用いられます。両脇の2体の動物は、カルマを背負いつつ転生をくり返す者の宿命を物語っているかのようです。運命の輪のカードは、「タイミング」を教えてくれます。巡ってきた上昇の「時期」を逃さず、「チャンス」に乗じられるように構えることが必要です。また、来るべき上昇の時期に備えてポジティブなイメージをふくらませるなどが、この輪の機能を活かすポイントにもなります。

カード11 11 力・正位置
 気品にあふれ、凛とした雰囲気を持つ女性が、力むことなく猛獣であるライオンを制しています。彼女は、肉体的な力ではなく、精神的な力をもってライオンを制しているのです。もしかしたら、ライオンは彼女に抱かれて安らぎを覚えているのかもしれません。力のカードは、不屈の精神による障害の「克服」や忍耐によって得る「勝利」を表わします。どんなことにもひるまない姿勢を支える「自信」とは「信念」のもとに成り立ちます。信念が必要な「力」を生むという一面もあります。己を信じていられることが奇蹟を呼ぶのです。それは愛を信じることにもつながります。彼女の頭上には∞マークが浮かび上がっています。無限なる宇宙のパワーは信じる者のところに降りてくるのです。

カード12 12 吊された男・正位置
 若い男が、両手を縛られ、足を十字にして逆さに吊るされています。しかし笑みさえ浮かべているその表情は、苦痛というよりもむしろこの状況を認め、余裕を見出したかのようです。頭の周囲の後光は彼が何かに目覚めた事を表わします。このカードは「自己犠牲」を象徴します。なにかしらの「制約」やしがらみにおいて、自分が望む状態とは違う状況で「忍従」しなければならないことを暗示します。「耐える」事が要求され、その状態を脱するには「あきらめる」意外にないのです。しかしそこで価値の転換という意識の持ち方が重要な意味を帯びます。彼は吊るされる前の状況とは逆さまの視点で物事を見ることで、現状を納得して受け入れられたのです。

カード13 13 死神・正位置
 不気味な骸骨が鎌を持って人間も含めあらゆるものを刈り取っていきます。鎌は三日月を象り、時とともに移り変わるこの世の無常を表わします。バラバラになった死体の顔や手は地面から養分を吸い上げるかのように生き生きとしているようにも見えます。これは「死」が一つの形の終末ではあっても、宿るエネルギーは保存、変換され、「再生」の機会を得る事を象徴します。占い上でこのカードが出た場合も物事の「終わり」や「中止」、人との「別れ」、それに伴う「悲しみ」や「苦痛」や「失望」などを味わいますが、これらの経験が霊的な意味での脱皮、成長につながります。死神のカードが逆位置で出るとしばしあきらめていた事柄が「逆転」する暗示となります。

カード14 14 節制・正位置
 両手には瓶を持ち、片方の瓶からもう片方の瓶へと注意深く水を移している天使の姿。この水の流れは、エネルギーの流れを表わします。陰極から陽極に、反対に陽極から陰極に流れるエネルギーの動きによって物事は存続、継続していくのです。天使の作業は一見、単純のように見えますが、一滴もこぼさぬように、永遠にこれを続けるためには集中力と気長さが同時に要求されます。一定の動きを乱さないよう感情的にも常に「平静」を保ち、力の配分を「コントロール」しなけれはなりません。このカードは「節度」の重要性を表わします。長い目で物事を見、細部をおろそかにしないことが大切です。またカードには天使が描かれていることから、物質的、時間的な「無駄を省く」ことが霊性を高めることに関連があるとも読めます。

カード15 15 悪魔・正位置
 こうもり状の羽を広げた悪魔が立っています。人間にも似たいでたちであると同時にきわめて獣に近い様相の気味の悪い姿をしています。しかし彼は人々を誘惑し、自分のもとにつなぎ止めておくだけの魅力を有しているようです。その証拠に両脇にいる悪魔化した男女は緩やかな綱につながれたまま、その綱をふりほどこうとはせず、むしろ喜んでいるようにも見えます。このカードは「欲望」を象徴します。度を超えた欲は人間の健全な感覚を狂わせ、身心ともに不健康にしたり、生活自体を大きく乱してしまうもとです。しかし「誘惑」という罠を見極め、断ち切ることが出来なくなってしまうことが人間にはありがちです。また、恨みや敵意など、断ち切りがたい感情に支配された状態や肉体的「病」もこのカードが示すところです。

カード16 16 塔・正位置
 稲妻が光り、高い塔が落雷を受け、大きなダメージを受けています。このカードは、予期しなかった突然の「ハプニング」を暗示しています。それは運命のいたずらのように他動的にもたらされることもありますが、自分の予想が外れるといった意味合いもあります。ある事件からそれまで信じていたことがくつがえされたり、間違いや見込み違いに気付き、あわてふためくといったこともあるでしょう。ショックで逆さまにひっくり返った人間は、物事の根底に立ち返る姿勢をも象徴します。このカードからは、改めて問題を見直すことや、初心に戻り、驕りを捨て、謙虚な考えを持つなどが大事とも語られています。

カード17 17 星・正位置
 清らかな泉の前で、片膝をついた裸の女性が水瓶を持っています。この水瓶から流れる水は、決して尽きることがない宇宙エネルギーです。むしろ、流せば流すほど、より流れがよくなります。この水が尽きることがないのは、この女性がとても純粋で素直であるがこそなのです。このカードは「希望」を表わします。天に輝く星たちは地上の美を祝福しています。夜空も自然もハーモニーを奏でるように活き活きとその生命力の輝きを放っています。これは彼女のイメージの中にあった世界なのです。そして彼女はますます「未来」へのビジョンをふくらませていくのです。すると水瓶の中のエネルギーは彼女の思い描いた形にそって流れはじめます。このカードは「芸術」や「人気」も表わします。

カード18 18 月・正位置
 闇は人の弱さを浮き彫りにします。おぼろげであたりをぼんやり照らす月の光はその人間の持つ「恐れ」や願望を映し出すかのように、実像を虚像へ作りかえます。月のカードは真実をねじ曲げてしまう「幻想」の働きを表わし、「誤解」「誤算」「偽り」「嘘」などの混入に気づかない状態や、自ら何かを「誤魔化す」といった「自己欺瞞」を暗示します。月の下には、感情を象徴する水溜りがあります。その中のザリガニは本能的な衝動を象徴します。月の引力に引きつけられ、ザリガニが水面へと動くと水は波立ちます。このカードはそのように感情が乱されることからくる「不安」を抱えたまま「現実逃避」てしまいやすい状況も示しています。

カード19 19 太陽・正位置
 地上のすべての生命の源である太陽が輝いています。その輝きのもと、2人の子供が手を取り合っています。2人は、出会った「喜び」を感じています。実はこの2人の子供は1人の人間の中にある両極面。陰と陽、低次と高次など、元は1つであったのに別々に見えていたものが晴れて一つに結合し、全体性をとりもどした瞬間を象徴します。太陽の輝きは魂の輝き、自分が自分らしく存在しているという認識が「自信」となり、堂々と明るく振る舞えるようになるのです。このカードはあらゆる「幸運」や「成功」を暗示します。太陽の根元的なエネルギーがいつでも注いでくれているのです。また、描かれているのは「無邪気」な少年と少女。このカードは「子供」に関する事や新しい生命の誕生も暗示します。

カード20 20 審判・正位置
 天上で、天使がラッパを吹き鳴らしています、人間の魂への最後の審判が下される瞬間です。良い行いをした者、そうでない者、ラッパの音で各自が墓の中から目覚め、自分を振り返ります。過去の罪は悔い改める時です。人々は救いを求め祈ります。中央の赤い宝石は太陽と月の滴が溶け合っていったん地にまみれ悠久の時を経て再結晶化された賢者の石。不可能を可能に変えるこの石の強大な力がその輝きを見た者に救いをもたらします。しかし、この石を目にする事ができるのは、鍛錬された精神の持ち主だけなのです。このカードは「復活」を表わします。「過去が蘇る」ことで自分の心が審判されるのです。人は後悔しない生き方を取りたくても、どこかで間違ってしまうこともあります。過去に縛られて未来を犠牲にするのもよくありません。最後に笑えるような道を行けとカードは教えてくれます。

カード21 21 世界・正位置
 四方を聖獣たちに囲まれたマンダラを背に立つ人間らしき姿があります。女性にも見える様子ですが、実は帯の下に男性のシンボルを隠した両性具有なのです。それは天の神に選ばれた女性が神と一体化した姿。天に例える男性性と地に例える女性性という相反するものが「結合」し、調和した世界の「完全性」を表わします。このカードは「完結」や「完成」や「ゴール」といった「最終地点」を示し、物事が「成就」されたことを暗示します。当初の目的は具体的な形となってここに実現されるのです。同時にそこは終わりの地点でもあり、動きの止まった状態とも読めます。実際の占いでは「成功」などの吉兆を示す事が多いこのカード。交際は「結婚」へと実を結ぶ暗示です。また、地球に関係の深いこのカードは「海外」などの事柄を示すこともあります。

カード00 00 愚者・正位置
 大アルカナ中でただ1枚、番号を持たないこの「愚者」のカードは「未知数の可能性」を表わします。カードの中の旅人はこの世の具体的なものは何も見ていません。瞳は虚空を仰いで足元の犬にも無関心です。何事にもとらわれず何事もおそれることのない「自由」な魂を持つ彼。一切は「無」に帰し無から生まれる。有るように見えるものも本来実体はなく、波立つ感情さえももはや幻想の産物だと知った彼は神の正体を己の中に見出し、安心しきって前進しています。彼の精神は無垢の赤ん坊でもあり、一切の執着を断ち切って彼岸に旅立つ解脱者でもあります。現実世界においての彼の行動は型破りです。「放棄」や「逃避」、飛躍した発想、「冒険心」なども表わし、俗世間的に見れば無責任、いい加減、「非現実的」、荒唐無稽などの「愚かさ」にも通じるでしょう。

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