ロゴス(logos)とは、古典ギリシャ語「λογος」の音写で、「運命」「真理」を意味します。また、古代ギリシアにおいては、世界を定める理(ことわり)として定義され、偉大なる創造概念と捉えられていました。そのため、人々の間では、ロゴスに従った生き方が、賢者の人生であると提唱されたのです。
――世界を創生するのは、相反するふたつの事象です。
そう、たとえば、「善と悪」や「創造と破壊」などといったように。
すべては、どちらにも偏らず、つねに二面性を持って移り変わっていきます。それこそが「運命」、つまりロゴスによる決定なのです。そして、あらゆる事物を運命づけるロゴスは、「火」に象されます。燃焼しエネルギーにもなる反面、形あるものを焼失させもする炎。その二面性が、世界を良き流れにも悪しき流れにも促すロゴスのシンボルとして表されます。
ただ、いかなる道を辿ろうとも、それが永遠に続くことはありません。ロゴスが導く未来は、つねに流動し続けていきます。 その絶え間ない可変を、古代ギリシアの人々は「panta rhei(パンタ・レイ)」と称しました。すなわち、「万物流転」の意味。この世に生を受けるすべての命には、生涯に渡って運命が訪れ続けることを示します。
現在、かつてギリシア人が定めたロゴスの思想は、現代哲学や論理学の分野へ大きな影響を与えています。
またそれだけでなく、21世紀を生きるわたしたちの日常にも、その定理は脈々と伝えられているのです。
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